HIDEKI MATSUYAMA Sponsored byNTT DATA
Column
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#04

2022.07.06

デジタル/データと歩む最古のゴルフトーナメント

協賛の歴史

スコットランド南西の海岸線に位置するプレストウィック。1860年の10月、英国人ゴルファーによって行われた競技が全英オープン――The Openの起源である。当時の開催期間は1日のみで、参加選手はわずか8人だった。

以来、現存する世界最古のゴルフトーナメントとして唯一無二の存在であり続けてきた全英オープンは、ゴルファーのプロフェッショナル化も手伝い目覚ましい発展を遂げた。さらに近年のIT(情報技術)の加速度的な進化の恩恵も受け、観る者の心を躍らせる興行的な魅力も高まるばかりである。

NTTデータは2013年のミュアフィールド大会から、IT分野における公式パトロンとして全英オープンの長い歴史の一部になった。まさに当時、キャリアで初めてスコットランドの地を踏んだ松山英樹と時を同じくして。

翌2014年からは各会場内に設置するデジタルサイネージ「NTT DATA Wall」を手掛け、伝統的なイエローの手動リーダーボードとは一線を画すデジタル観戦体験を英国リンクスで提供してきた。フィールドを埋め尽くす156選手のスコアや位置情報を画面に表示することで、臨場感を増幅させながら来場者それぞれの観戦スタイルをサポートしている。

2015年に入るとテクノロジーショーケースの一環として最新技術を駆使し、トーナメントに対するファンの理解や興奮をいっそう膨らませるチャレンジを繰り返してきた。2017年、AR(拡張現実)により、ユーザーがまるでチャンピオンシップコースに足を踏み入れているかのような疑似体験に始まり、2018年に導入した感情分析AI技術では会場のファンの“興奮レベル”を可視化。DATA Wallに備えつけられたカメラが撮影した来場者の表情をAIで分析し、盛り上がりの程を数値に置き換え、それぞれのプレーと紐づけることで“名場面”を客観データとして生成した。また2019年の映像 AIは中継映像のAI解析により特定選手の各プレーを自動抽出してクリッピング。ほどなくして繋ぎ合わせたハイライト映像はDATA Wallや場内パビリオンのタブレット端末で公開された。

潮風が行き交うゴルフコースと、そこで競い合うプレーヤーたちの情熱はそのままに、およそ19世紀のゴルファーにはおよそ想像もつかなかったであろう景色が、160年後のリンクスには広がっている。

2022年のサービスとこれから

英国のリンクスコースを数年おきに巡る全英オープンは2022年、セントアンドリュース・オールドコースに7年ぶりに帰る。北海を望むスコットランドの東海岸。R&Aが本拠を構える「ゴルフの聖地」の全容やそこでの一流選手たちの戦いぶりが、例えば、目の前のPCや手元のスマートフォンに表現されるとしたらどうだろう。

NTTデータが記念すべき150回大会で展開するデジタルツインは世界中で500万人以上にも及ぶユーザーの前に、ホーム・オブ・ゴルフを浮かび上がらせる。

大会公式サイトで展開する3Dマップには、衛星データを用いてデザインされる忠実かつ華やかなビジュアルに、位置情報による全てのプレーヤーの全てのショットが描かれていく。ショットビューライブは各ホールの情報やスコアはもちろん、コースに配置されたスタッフのGPS計測情報を集約した各ストロークの飛距離や選手のフィールドにおける統計データをリアルタイムでアップデート。大会公式サイトで一番アクセスされるリーダーボードでも、スコアデータだけでなく、選手ごとの各コースでのボールポジションをグラフィカルに表示。このデータは、ライブブログを通じてもユーザーに届けられる。世界最高峰のトーナメントを俯瞰し、アクティブに広く、深く読み解くツールとしての価値を確立した。

急速なIT化の波により、全英オープンの長い歴史からすればわずかな時間で革新的技術とアイデアを最古のトーナメントに注入してきたNTTデータだが、目下、R&Aと手を取ってフォーカスを当てるのは「持続性」である。そこにあるのは伝統への心からの敬意とゴルフの未来への投資といって間違いない。

特定の英国リンクスをローテーションして開催される全英オープンは、ゴルフの進化を図る上で実に効率的なメジャートーナメントのひとつ。データを経年的に蓄積、活用することで、将来同じコース、同じホールで数年前のプレーヤー、あるいは自分自身が見せた攻め方の違いは一目瞭然となり、技術やパワーの変化を探る術になりうる。

歴史とデータの積み重ねがいずれ引き出す、時間軸という奥行き持った立体的な魅力。3年ぶりに全英の舞台に、7年ぶりにセントアンドリュースに立つ松山英樹はもちろん、その中心にいる。NTTデータは全英オープンが、彼が次にゴルフの聖地に帰ってくるそのときだけでなく、遥かなる“次の150回”の開催さえも見据えている。